小説実験研究室

はじめに

「深淵（アビス）を覗くと、深淵（アビス）はあなたを見返す」

映画『アビス』の冒頭で出ていたテロップ、誰の言葉だったろう、と思っていたら、ニーチェでした。

「怪物と闘う者は、その過程でみずからが怪物と化さぬよう、心せよ
長く深淵(アビス)を覗きこむ者は、深淵もまた覗き返す」

というニーチェの言葉が元？のようですが、小説を書くという作業も、深淵を覗くのと似ているように思います。
小説に限らず、創作はほとんどそんな気がします。

地球上で、深淵を覗き込もうとするのは人間だけなんでしょうか。
深淵を覗き込んで、イロイロ苦悩しているのは人間だけなんでしょうか。

でも、小説を書くのが好きなのです。深淵を覗き込んでみたり、あえて見なかったふりをしてみたり。

さて、深淵に注意！ということで、古代ギリシアの哲学者に倣い、芸術（ムゥサ）の女神達に祈ってから語り始めることといたします。

女神が降りてきてくださいますように。

どうか私が私の伝えたいことを最後まで語ることができますように。

深淵に覗き返されても、引きずり込まれず、再び現実に戻ってこれますように。

どうか女神よ、お守りください。

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