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シルバージュエリーのデザイナーとオーナーを生業としている黒埼 圭(24)は仕事上がりが遅く深夜1時頃帰路に着く。
東京等に比べれば都会とは言い難い九州は福岡に店を構えてから一年、その個性的なデザインと質の高さが支持され若い世代の男性を中心に高い人気を得ている。
しかし、充実に慣れてしまい日常に愚鈍になっているのも事実で、贅沢と言われれば最もな事ながら致し方ないのである。
お気に入りの曲を聴きながらの帰路も知らず内に溜息も出る。
自宅までは、
まだ明かりが灯る国道沿いから狭まった住宅街への近道を抜ける。
一歩入れば外灯も乏しく視界が奪われ歩みが慎重になる。
しかし、数分歩いた所で何時もと違う違和感を感じた。
―明るいのだ。
(なんだ…?)
圭はヘッドフォンを外して立ち止まり、アスファルトに反射する赤い明かりを辿る。
(――!)
辿り見た先は団地の棟々の合間から赤く燃え盛る炎。
自宅方向とは違うにしても
近所なのだから知った人の宅かも知れず、圭は愕然としながらも現場に向かって駆けた。
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