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「――雪…乃」
―キィ…
俯いたままブランコを揺らす
小柄な人物に近付き
確信をもって呼び掛けた。
「雪乃」
呼ばれビクッと震えた相手が
ブランコを止めるのを待たずに
圭は駆け寄り抱きしめた。
微かな呼吸、冷えた体温
髪の質感。すべてが死んだと誰もが思っていた次男、御陵 雪乃だと告げていた。
「……け…い?」
か細く発された呼び掛けに応えるように強く抱きしめる。
「圭っ…!」
腕の中の雪乃は張り詰めた糸が切れたように何度も圭の名前を呼び泣き噎せた。
圭は信じられないような奇跡に
感謝しながら雪乃が泣き止むまで背中を撫で続けた。
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