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冷えた外気を部屋に送り込む
締め切って暖かい、けれど
濁っている空気を入れ換える為
窓を開けた。
正午までは30分。
窓際で振り返れば、離れてないベッドで未だ夢心地の君を
射抜くかの如し陽光。
金色の跳ねた髪を透かして
綺麗だったから触れてみた。
傷んでいても優しい感触を反芻して小さい頭を撫でて椅子に座りぼんやりと寝顔を眺める。
「あ;」
「…………」
横向きにシーツに身を預けたままの君にいつの間にやら眺められる側。
眺めていた俺を怪訝そうに見る
「……………なに?」
機嫌は悪くないらしい。
黙りこむ俺に痺れを切らし
首を傾ける仕種。
うん、凄く可愛い。
だから
「可愛いな、と思って」
一言を真剣に。
「、バァカ。」
キャッキャと笑うと
ベッドを抜けてキッチンへ
金髪の14歳は振り返る
「父さん、お腹空いたっ」
24歳で14歳の子供を
養う俺には色々な事情がある
最初は自分の運命を呪ったし
彼とも上手くいかなかった。
だけど、側にいる程に
笑顔を見る程に
大切な何かを教えられていく
「よし、飯食いに行くか」
「わーい、お金もちぃー」
「ファミレスな」
「ちょっとケチぃー」
願わくばこのまま
この子の世界に
光が途絶えませんように
(終)
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