【午後の射陽】

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取り敢えずは隣の部屋、 キッチンに向かう為 “ヨイショ”等、年寄り臭く言いながら身を起こした。 キッチンにはテーブルと椅子、 冷蔵庫に…と、必要な物以外は置いてはいなく見渡しても雪之が機嫌を損なう原因は見当たらない。 昨日作ったカレーの残り鍋の蓋を開けてみても、バナナスタンドに下がるバナナを突いてみても炊飯器を開けてみても、 つまりは圭の食欲をそそるだけである。 (なんな訳?) 圭の眉間に皺が寄りだした。 そして次に開いた冷蔵庫で 「………………あ。」 ピンクの粘るようなものを発見 「これは俺の 所為ではないだろ」 未開封の袋に入ったそれを手に やっぱり胃が痛くなる圭。 雪之が吠えた原因は昨日の夕方、夕飯の買い物の途中に見かけた縁日の出店で買ってあげたキャラクター袋に入っていた大きめの綿飴。 綿飴を初めて手に入れた雪之は勿体ないと言って食べずにいたのだ『早く食べないとなくなるよ』と言う圭の言葉を無視して よってふわふわは単なる砂糖の溶けたものに変化したのだ。 溜息を殺しつつ 圭は雪之の部屋へ向かう。
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