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悠久の時間。
たゆたうように流れる映像。
時間までもが無限の螺旋の中で漂っているような感覚。
少女の見る夢が幻影となって投影されているかのような幻覚に誘う。
どれぐらいその映像を見つめていたのか、ふいにかけられた声で我にかえる。
「重症だな。宇宙暮らしが永すぎていっちゃったかな」
ハスキーボイスな声の主が気色の良い笑顔を向ける。
和羽(カズハ)だ。
女のような名だがれっきとした男である。
正式名称、宇佐美和羽(ウサミカズハ)。
名前とは裏腹にロマンの欠片もない楽観主義者だ。
本人はこの女々しい名を、いたく気に入っておらず、普段は意識して低い声を出しているが、こう言った嫌味を言う時は決まって中性的な地声が出る。
「でもかわいいな彼女」
「これは守備範囲を訂正しないとな」
本気としか取れない仕草で髪を整える和羽。
ほっとけば一人でいつまでも漫談している男である。
「なっ、閃(セン)もそう思うだろ」
和羽が閃と呼ぶ青年は椅子の上で伸びをするようにのけぞった。
名を来栖閃(クルスセン)という。
先程からモニターの少女に見いっていた青年である。
「でっ?」
無口な青年は一言で和羽を切り捨てた。
「でって・・・ 閃、無口な男はモテないすぜ」
お喋りなこの男がモテるとも思えないのだが。
脱線気味の会話をうちきるように、その時無線が入った。
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