霄へ

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林の緑と灰色の雲を結ぶ 細い煙突 白い帯が 立ち昇ってゆく 見上げた空から 小さな雫が落ちてくる 黒い靴もまた 静かに濡れている 黒い大人達の間を 無邪気に駆け回る幼子 彼の名もまた そら 着物を愛した祖母は その日 娘の誕生日に 霄へと昇った もうすぐ夏 柔らかな雨に包まれながら 白い帯に乗って 今日も雨が降る この黒い靴を 履いているから
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