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その女の人が入って来ただけで、電車の中の温度が急激に下がった気がした。
いや、実際に下がったかもしれない。でも夏の電車はクーラーが中途半端に効いてて、はっきりいって少し暑いのだ。調度いいといえば調度いい。
その女の人は真っ白な肌に、光を反射した雪のような銀の長い髪をした、雪女だった。
「人間の世界の夏は暑くてたまりゃせん……車掌さん、クーラーをガンガンにしてくりゃれっ!」
女の人はきんきんとした声でそう叫ぶと、私の向かいに座った。
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