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「なあ、高志。お前はあれほどバスケに魂そそいでたんだ。まだ顧問に謝れば出来るんじゃないか?」
一弥は高志がどれだけバスケに熱心だったかが分かるため同じスポーツマンとして心が痛かった。
「無理だよ……。あの顧問の事だ。きっといくら頼んでも入部は無理だ。」
高志が暗く言った。
「………確かに。アイツは最低な教師だからな。」
その顧問の名は田中武。校内でも有名な嫌われ教師だ。
一度目をつけたら徹底的にその生徒に対し厳しくする。
高志も今回ので目を付けられてしまったであろう。
「許せねぇ…。こんなにバスケに一生懸命だった高志からバスケを奪いやがって。」
一弥が怒りに震えている。
「一弥、有り難うな。俺の為にそんなに思ってくれて。…でももう良いんだ。中総体は諦めるよ。」
高志自体も最早諦めている様だ。
相手は教師、歯向かっても無駄。此方が傷つくだけだ。
高志はそう思っていた。
キーンコーンカーンコーン…
授業のチャイムが鳴る…
「…元気出せな、高志。」
一弥は高志を励ました。
「ああ、ありがと。」
やはり高志は元気が無かった。
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