現在

6/9
前へ
/241ページ
次へ
「この後未来ではどうなってんの?」 俺は気になった。軽い気持ちで口にしていた。それを聞いた彼女は、まさに未来の声を聞くかのように、目を瞑り答える。 「この後……?ぶらぶらしてサイナラちゃうかな」 「じゃあぶらぶらしよ。まだ時間あるし買い物するのもいいやん」 「またかい……」 俺はそう言って美穂の手を取り、席を立つ。これはいつもの話だった。行く場所に困れば彼女に未来を見てもらう。 そしてその予言通りに動くのだ。ある意味確実で、正しいと思う。 不服そうに口を尖らせるが、俺が機嫌を戻すように笑い話をする。 すべては美穂のために。彼女の笑顔が見たいから。その一心だった。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3494人が本棚に入れています
本棚に追加