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「この後未来ではどうなってんの?」
俺は気になった。軽い気持ちで口にしていた。それを聞いた彼女は、まさに未来の声を聞くかのように、目を瞑り答える。
「この後……?ぶらぶらしてサイナラちゃうかな」
「じゃあぶらぶらしよ。まだ時間あるし買い物するのもいいやん」
「またかい……」
俺はそう言って美穂の手を取り、席を立つ。これはいつもの話だった。行く場所に困れば彼女に未来を見てもらう。
そしてその予言通りに動くのだ。ある意味確実で、正しいと思う。
不服そうに口を尖らせるが、俺が機嫌を戻すように笑い話をする。
すべては美穂のために。彼女の笑顔が見たいから。その一心だった。
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