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悠生達は時給で決めた。高校生にして時給八百円は大きいと感じて、悠生は喫茶店、孝夫はマクドナルドで働こうと決めた。
「正直時給八百はデカいよな」
興奮気味に孝夫が言う。その言葉に同感しながら、悠生は無言で頷いた。
都合良いことに喫茶店とマクドナルドは隣接していて、最終二十二時に一緒に帰る約束までして、二人は同時に自分が働く予定の店に足を踏み入れた。
悠生は迷いなく、レジのところまで行き、面接希望とスタッフに告げる。
そのときだった。スタッフも不思議な顔をしていたが、急に誰かに肩を叩かれた。
悠生はドキリとして後ろを振り返る。するとそこには、ニヤニヤ笑ったエプロン姿の美穂がいた。
悠生は開いた口がふさがらず、言葉が出てこない。ようやく出た言葉が、「どうしてここに……?」だった。
するとまた悪戯っぽく微笑み、「わかってたから」と言い仕事に戻って行った。
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