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授業が始まっても美穂のことで頭が一杯だった。勉強は頭の隅っこに追いやられていた。
そして嬉しいことに今日は金曜日。委員長会議が放課後にある。朝から今日会って何を話そうか楽しみで仕方ない。
今までここまで恋愛を楽しんだことはなかったかもしれない。悠生はまさに青春だなとニヤニヤしていた。
「おい、秋山ちゃんと聞け」
「……はっ!すみませんっ」
先生の叱責が飛んだ。自然と顔が緩んでいたようだった。周りのクラスメイトがクスクス笑う。
悠生は恥ずかしくて教科書で顔を隠した。怒られても、彼女が頭から離れない。
横の席の孝夫が少し心配げな表情をしていた。悠生はそれに気付いて、首を傾げる。
孝夫は「後で」と小さい声で呟き、黒板に視線を戻した。
悠生は孝夫の真面目な部分を馬鹿にした気分で見ていた。
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