3494人が本棚に入れています
本棚に追加
学校の授業が一通り終わったあと、委員長の悠生は終礼を仕切っていた。
学校が終わったという解放感からか、ざわざわと教室には賑やかな雰囲気が漂う。
「起立、礼。ありがとうございました」
委員長としての仕事は、結構楽だった。毎回授業が始まる前に挨拶をするのと、担任の先生に明日の予定を聞くだけだったからだ。
無理やりやらされたにしては、良いことだらけだった。友達も出来るし、何より美穂に会える。
終礼を終えた悠生は、自分の机に戻って、会議室に向かうため、帰りの準備を整える。すでに悠生の鼓動は音が鳴るかのように、跳ねていた。
「あぁ~バイトだ……嫌だなぁ」
隣の席で帰り支度をする孝夫がダルそうな声をあげる。
「頑張れよ。せっかく良いとこ見つかったんだから。時給八百はデカいんだろ?」
孝夫が思わず吹き出した。
「うるせぇよ。時給の話はもういいから」
「悠生!」
孝夫のめんどくさげな声の後、廊下の方から聞き慣れた声がした。思わず顔がにやけてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!