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予想通り教室前の廊下には、美穂が立っていた。そして隠れるように後ろには顔の似た美緒が立っている。
「孝夫もお呼びのようじゃん」
「あっ、美緒さん。やる気出てきた!」
悠生と孝夫はカバンを背負い、美穂の元に駆け寄る。その姿を見てか、教室内がざわざわする。
「えっ、秋山って付き合ってんの……?」
「でも下の名前で呼んでたし……」
「なんだあいつ。ものすげぇ可愛い子に名前呼ばれて……」
そんなコソコソ聞こえる声が、よりいっそう悠生を気分よくした。恋人気分を味わったかのような優越感に浸る。
「じゃあ行こっか。紹介しとく。これが姉の美緒よ」
美穂が悠生に紹介を終えると、視線を美緒に移した。美緒は「よろしく」と丁寧に頭を下げた。
本当に美穂とは真反対だと思った。気さくな印象があるが、親しくなるのは時間がかかりそうなタイプだった。
そして悠生の方も美穂に孝夫の紹介をした。
「知ってるよ。美緒から聞いてるし、よろしくね孝夫君」
美穂は満面の笑みで孝夫に挨拶する。孝夫は照れたのか、少し顔が赤くなっていた。
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