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階段を上がり終え、少し廊下を歩き、右手に見える教室のドアを開く。
ドアを開けた瞬間既に担当の先生がいたので、慌てて悠生と美穂は自分のクラスの椅子に腰掛ける。
Cクラスの美穂とは隣だった。つまり悠生はBクラス 。
「よしっ、じゃあみんな集まったところで今日の委員長会議を始める」
少し禿げた三十過ぎの男教師が礼をする。それに従い、みんな頭を下げる。
「えっ~と今日話し合うのは……」
そう言って先生は黒板に向かって、チョークを走らせる。チョークの音が静まった教室に響き渡る。
悠生は彼が書いた文字を見て、息を飲み言葉を失った。
黒板には『体育祭について』とでかでかと書かれている。この学校では体育祭は六月に行われる。
悠生はチラッと美穂の顔を窺う。だが左隣にいる美穂は黒板に夢中で、表情がよくわからなかった。
体育祭……。この言葉を聞いてドキッとした。というのは、今年、悠生は走るかどうかを迫られる運命にあったからだ。
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