プロローグ

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後輩と再びお墓の前に来て、私は手を合わせた。心の中で呟く。「これが最期の予言になりますように」 後輩も目を瞑り、手を合わせて一心に何かを祈っていた。この後輩に幸があるといいなと私は思った。 「何を祈ったの?」 「秘密ですよ。へへ」 そう言って照れ笑いをしたが、目元にはまだ涙が流れた後の余韻が残っている。 「二人であの頃のこと語りません?きっと喜びますよ」 「そうね。きっと……」 後輩がそう言って墓場の前に座り込んだ。私も枯れた涙を拭き、彼の隣に腰掛ける。 後輩があの頃の話をし始めた。あの頃と呼ばれるのは高校時代。 大学に入って疎遠になった今、葬式を機にあの頃の思い出が蘇る。
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