3494人が本棚に入れています
本棚に追加
「何じっと見てんのよ」
「……ごめんごめんつい」
彼女はそんな俺を怒りながらも、満足げな表情を顔に浮かべる。
ミックスジュースを飲んでいるときの横顔にまた見とれてしまう。
正端な顔立ち。艶のある茶髪。細い切れ長の瞳。そのどれもに俺は惚れ惚れしていた。
「アイドルが墜落事故に遭ったのにさ、こんなに冷めてるのは私たちだけちゃうかな?」
「確かにね……」
客席がほどよく埋まった駅内にある喫茶店には、あらゆる客がいるが、だいたいがこの話題で持ち切りだった。
おじさんが持つ新聞には、大きく人気アイドル飛行機墜落と書かれているが見える。
「未来が見えるなら止めてあげればいいのに」
俺が皮肉っぽく美穂に言う。
「バカ!未来を変えるととんでもないことになるのよ~怖い怖い」
茶化すように軽く言い放つ美穂は、自分の力に罪悪感はなさそうに思えた。
最初のコメントを投稿しよう!