足下の

2/2
前へ
/100ページ
次へ
定期的に落ちる滴が、命の残量みたいに思えた。 なんて言えば文学的に取られるだろうか。まああながち間違ってはいないだろう。 狭い病室に飼われて、死ぬのだろう。 どこもかしこも真っ白で、色なんかない。 窓も自分では開けることができない。 その窓の外を知ることが無いのだから、カーテンで閉め切っている。 僕の全てはベットの上と、この狭い病室だった。 つまらなくてつまらなくて。 ぶつん、とその点滴を力一杯引き抜いた。 見慣れた色がシーツに舞う。 ぱたぱたと、少量の鮮血は真っ白を汚した。 「見てよ」 誰もいないけど。 時々感じる気配を、僕は兄弟なのだと思う様にしている。 兄弟がいるのかすらも定かでないけど。 「僕死ぬかもね」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加