出立

5/7
前へ
/55ページ
次へ
「ふぅ、これで完了っと。」 荷物は全てボストンバッグの中に収納した。意外とかさむもんだ。 「ねぇ、ところでさあ。」 旅支度が完了したオレにタカが話しかけてくる。 「なんだ?お前の第一印象か?それはな………スゲー地味な名前。」 "加藤高史"なんてネット検索したら軽く千件越えしそう。 「そんなことは聞いてないし知ってるよ!親に言ってよ! …じゃなくてリンの家まで何で行くのさ。けっこう距離あるよ?それに………いるし。」 そうなのだ。 外は彼らのテリトリー。完全にアウェイなわけである。ちなみに、今朝オレがハリウッドの特殊メイク説をひっさげて「へろう、えぶりわん」と、ファーストコンタクトを試みたところ、危うく彼らのブレックファーストになるところだった。 正直ちびった。だってみんな目がガチなんだもん。 なのでオレは考えた。 「クルマを使うぞ。」 「まじ?」 「あぁ、親父の4WDがある。」 「免許は…?」 タカが恐る恐る聞いた。 「知恵と勇気でカバーだ。」 「そんなのでカバー出来たら教習所なんてものが成立しないよ…」 不安満載なタカを連れてオレ達は意気揚々と玄関のまえに立った。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加