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目の前に。
少女が立っていた。
頭には猫のような耳が生え、お尻には尻尾もある。
コスプレかと思いきや、人間の耳があるはずの位置には何もない。
そして、何より。
僕に何かを向けていた。
「あ……あの……?」
──銃だった。
小柄な少女に似合わず、ゴツクてデカクて、真っ黒な銃身に赤い装飾が施されている。
美しいフォルムだったが──今はそんなことを言っている暇はない。
自分は今……殺されようとしていた。
「ほ……ほーるど……あっぷ……」
鋭い眼光とは正反対に、威勢がない声が響いた。
よく見ると、少女は体中傷だらけで血を流しながらそこに佇んでいた。
「……お前は……敵か……敵じゃないか……?」
真っ直ぐに。瞳がこちらを見つめている。
敵と言えば殺される。
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