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-響く旋律-
私の目覚ましは、彼のピアノの音
「……」
昨日薬を飲み過ぎたのか、体が動かない
ザクザクに切った左手にはぎこちないながらも包帯が巻かれていた
「気持ち悪い…」
取り敢えず、水を飲むために起き上がった
ドタンッ
「!」
旋律が止まる
(しまった…)
バタバタと階段を駆け上がってくる彼
「なにやってんですか」
私は床に倒れこんだまま答えた
「別に…」
「それは、あの芸能人の真似でもしてるのかな?」
と、ふざけたことを謂いながら私を抱き起こしてくれた
「ごめんね」
「うん。とにかく、飲み物持ってくるからおとなしくしときなさい」
私をベッドに戻し、彼は飲み物を取りに行った
「…ごめんね…」
私は、自らが犯した罪を理解しているのにやめることが出来ない事に苛々した
オーバードーズ。薬を大量に服用する、ただそれだけ
リストカット、アームカット。腕などを傷つけること
馬鹿馬鹿しいでしょう?
意味もなく、やめることも出来ず
でも、彼はそんな私を許してくれた
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