前奏

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「カムイ」 「……矢部──さん」 突然現れた男は、少年の名を呼び──少年もまた、男の名を呼んだ。 「仕事中は、執行委員長と呼べと言っているだろう」 「すみません……」 「今回の任務は──終わり、ですか……?」 「ああ。すまなかったな。こんな仕事をさせて」 「いえ……。これも死神の仕事ですから……」 「お前にはまだ早いと思っていたんだよ。この仕事は恨みを買う仕事だ」 「……」 この仕事は、所謂世間でいうところの「呪い」。 憎むべき相手を、依頼によって殺す仕事。 もちろん、依頼者はそれなりの代償を支払ってもらう。 これが死神をやっている中で、最も汚い仕事だった。
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