§始発§

8/12
前へ
/806ページ
次へ
 そこで、過去の回想を打ち切ると、蛍は再びステージに目を向けた。  箱には左から1、2、3、4、5と数字が書かれているのだが……。  やはり、あの数字にも何かしらの意味があるのだろう。 「では、皆さん、ステージの箱に書かれている中から好きな数字を思い浮かべて下さい」  再び解説が始まった。  真面目に裏をかこうとする人、適当にやる人、様々な種類の人が見受けられる。  蛍は面倒くさそうにパンフレットに小さく1と書いた。 「では、浮かんだ数字を二倍して下さい」  隣に2と書く。 「次に二倍した数字に4を足して下さい」  ――6っと。 「そして、出た数字を半分にして元々の数字を引いて下さい」  3引く1……2かな?  そこで改めてステージを見た。  ステージ上の箱をなんともなしに見る。 「では最後に出た数字の箱に皆の念を送って下さい」  蛍は馬鹿馬鹿しさ半分で『2』の箱をぼんやりと眺める。  すると、次の瞬間、『2』以外の箱が燃え上がった。  ステージが一瞬、橙色の炎で照らされ、一瞬で燃え尽きる。  残った『2』の箱が皆の視線を集める。  パチン  拡声器越しに、指を鳴らす音が響き、『2』の箱が燃え上がった。  火が上昇すると共に、紙の壁を炎のカーテンが捲りあげる。
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1890人が本棚に入れています
本棚に追加