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「いや……、知らなかったけど」
「恥ずかしがっちゃって。俺も入ろっかな、『ミステリー研究会』」
蛍は本当に目的が彼女じゃなく同時に彼女は本当に知らなかったと言及したかったが、俊介も慣れたもの、仕方なく話題を変える事となった。
それに、蛍と俊介は長い付き合いだ。
たとえ、いくら可愛くても俊介が女子に恋愛感情を含む興味を抱かない事も知っている。
もちろん、男に興味があるわけではないよ。
だから、さっきの一言も蛍をからかうつもりで言った事くらい、蛍にも想像がついた。
だからこそ、蛍はあえてその言葉を利用しようとする。
「じゃぁ、俺帰宅部になるからどう……」
「ぞ」まで言おうとして背筋に冷たい物が走った。
己が友人が殺気に満ちた眼で蛍を睨んでいる。
下手な紫外線消毒器なんかよりずっと殺菌性能は良さそうだ。
最も、医療現場で使用したら、心臓の弱い患者まで即死させそうだが。
「入るって……言ったよな」
拒否の言葉を言おうものなら命を強奪されそうな勢いの中、自然と足が止まった。
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