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実際に止まっていたのは一瞬だったが蛍にはそれが永遠のように感じられる。
――ザ……ワールド!
心の中でくだらないツッコミをしても時は動かない。
蛍は仕方なく、
「お、おう」
やっとそれだけ言葉を絞り出すと急に時間が進み初めた気がした。
周りのエキストラの皆さん、さっきの一瞬はナンデスカ?
教えてクダサイ。
「だよな。お前は約束を破ったりはしねぇもんな!」
俊介はひまわりのごとき笑顔を作ると蛍と肩を組む。
先程の殺気は何処へやら、初夏の日差し差し込む校舎を二人は歩いて行った。
余談だが、この時、蛍だけは『返事を間違えれば』自分に刺さるはずだったであろうシャーペンを俊介がポケットの中で握るのが見えたという。
未だ、底知れない、透視の科学的視点からの証明はこの約六十年後に、学会にて発表される事になるとか、ならないとか。
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