プロローグ

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 ハッハッハ、まずいな。  最近ただでさえ、コンコルドも真っ青の速度で“平凡”から離れているというのに。  今、彼が私の胸にポイントしているものは一体なんですか?  はい、蛍(ほたる)君答えなさい。  先生、それはピストルです。  正解、偉いね。  更に言えば、中国製のトカレフという銃で今、もっとも日本に密輸入されている量の多い――。  はい、だまりなさい。  さて、それが私の胸にポイントされているという事はつまりどういう事ですか?  それは、私が殺されちゃうって事です。  はい、正解。  俺のバカヤロー!  脳内でそんなくだらない構想をやってる間に引金は引かれていく。  これはまずいですよ。  ゆっくりと引金は引かれ――。 「ちょっ、やめ――」  パンッ、という軽い発砲音と共に、胸を叩く強い衝撃。  苦しい。  痛い。  俺、死ぬのかな?  でも、守らなきゃ。  彼女を守らなきゃ。  決めたんだから……。
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