§始発§

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 はてさて本題。 「じゃぁ、今すぐ選べ!」  ギロリと蛍を睨む瞳。  俊介は俊介で、未だに友達の一人も出来ない蛍の事を心配しているのだろう。  そんな友達作りの一環として部活動に入れと言っているに違いない。  蛍は苦笑いのまま、手元の資料に目を落とした。  ちょうど、これから行く体育館で「新入生歓迎会」なるものが開かれ、同時に部活の紹介がある。  本音を言えば、必要価値は微妙な所だが、授業が潰れるので新入生からは熱烈な賛成意見を受けていた。  白黒で印刷されたわら半紙を捲りながら書かれている項目に目を通していく。  およそ、3cm四方の許容範囲にそれぞれの部活のロゴや絵、目標等、勧誘するための工夫が施されていた。  アルバイトの求人広告とどことなくかぶるところがあるのだが……まぁ、似たような物だろう。  しかしまあ、内容は意外とバラエティーに富んでいる。  「初心者歓迎! 柔道部へようこそ!」や「大きい人も小さい人も、皆がヒーロー! ラグビー部!」くらいはまだ良い方で、「絶妙の焼き加減! ちくわ部」や「癒しはここに有り! 花王のバ部」に至っては活動内容がいたって不明だ。  この桜ノ宮高校は、どうやら部活動が盛んらしい。  受験の時は主に立地条件(家から近い)と学力だけで決めたので、あまりパンフレットは読まなかったのだ。  蛍はしばらく眺めた後、 「これなんか面白そうだけど?」  そう言って手元のパンフレット、その端っこにある項目を指した。 「え? 『メイドさん愛好会』? お前そっち方面に興味有ったんだ」  俊介がページを覗いてつぶやく。  蛍は慌てて否定をした。
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