§始発§

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 二人の間に気まずい雰囲気が流れ始めた時、タイミング良く体育館からアナウンスの声がかかった。 「まもなく、新入生歓迎会が始まります。 新入生は自分の席についてお待ち下さい」 「やべっ、急ぐぞ!」  そう言うと俊介は軽く走りだした。 「あぁ」  軽い返事と共に、蛍も俊介に続く。  二人が体育館の入り口に来た所で念を押すように俊介が言った。 「まぁともかく、宣言した以上、絶対に入れよ!」 「まぁ、気が向いたらな」 「絶対だ!!」 「……わかった」  こうして、蛍の「ミステリー研究会」ヘの入会が決定するはこびとなった。       ▽  ◆  ◇  ▼      集会は基本的に順調に進み、科学部のせいでステージの右半分が黒くなったり、剣道部の部長が名前の長い必殺技を繰り出して数十メートル先の校庭に生えている銀杏の樹を切り倒したりしたが、 とにかく、メインの部活動紹介も終盤を迎えていた。 「……シンクロ愛好会の皆さん、ありがとうございました。 シンクロ愛好会名物“Xジャンプ”は未だ健在です。 では、次が最後の紹介、『ミステリー研究会』お願いします」  ――ん、やっとか……。  蛍は半分以上寝ていた目を上げステージを見ると、ちょうど、スポットライトに照らされたシンクロ愛好会――別名、男の空中シンクロ――の部員達が退場して行くところだった。
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