1890人が本棚に入れています
本棚に追加
二人の間に気まずい雰囲気が流れ始めた時、タイミング良く体育館からアナウンスの声がかかった。
「まもなく、新入生歓迎会が始まります。
新入生は自分の席についてお待ち下さい」
「やべっ、急ぐぞ!」
そう言うと俊介は軽く走りだした。
「あぁ」
軽い返事と共に、蛍も俊介に続く。
二人が体育館の入り口に来た所で念を押すように俊介が言った。
「まぁともかく、宣言した以上、絶対に入れよ!」
「まぁ、気が向いたらな」
「絶対だ!!」
「……わかった」
こうして、蛍の「ミステリー研究会」ヘの入会が決定するはこびとなった。
▽ ◆ ◇ ▼
集会は基本的に順調に進み、科学部のせいでステージの右半分が黒くなったり、剣道部の部長が名前の長い必殺技を繰り出して数十メートル先の校庭に生えている銀杏の樹を切り倒したりしたが、
とにかく、メインの部活動紹介も終盤を迎えていた。
「……シンクロ愛好会の皆さん、ありがとうございました。
シンクロ愛好会名物“Xジャンプ”は未だ健在です。
では、次が最後の紹介、『ミステリー研究会』お願いします」
――ん、やっとか……。
蛍は半分以上寝ていた目を上げステージを見ると、ちょうど、スポットライトに照らされたシンクロ愛好会――別名、男の空中シンクロ――の部員達が退場して行くところだった。
最初のコメントを投稿しよう!