scene~01

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午後八時三十分。 いつもの通り下着を着けずに、急いで自宅を出る。 逢えるのは、月に一度。 自然と急いでしまう。 下着を着けずに外を歩くのには少しも慣れないが、あの方に逢う時は着けられないのだ。 「あっスイマセン…。」 【しまった。】 人混みの大通りを、この格好で歩くのは、勇気がいる。 行き交う人々の視線が、余計に私を興奮させる。 「はっ…。」 ぶつかってしまったサラリーマン風の男性は、それに気が付くと、私の胸の辺りを見ていた。 私は、恥ずかしさと興奮で、顔が紅潮するのが解ったが、何事もなかった様に、その場を立ち去った。 【恥ずかしい…。】 下腹部が、湿ってくるのを感じたが、そのまま歩き続ける。 立ち止まると視線が集中するだろう。 なるべく、普段通りに歩いているつもりだが、下着を着けて無い事が、誰かに気付かれないか、不安で泣きそうになる。 だが いっそ来なければ…。 などと、考えた事は只の一度も無い。 何故なら、 あの方に、逢える事だけが、今の私の全てなのだから…。 二十分程、歩いだろうか。 極度の緊張と興奮と不安で狂いそうになる頃、あの方のマンションに着く。 まるで計算された様だ。 【着いた。】 人の視線を、受け無い場所に行ける解放感と、あの方に逢える嬉しさで、体中が熱くなり、太股の内側に、温かい液体が流れるのを感じたが、何事もなかった様に建物の中に入って行った。
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