18人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
午後八時三十分。
いつもの通り下着を着けずに、急いで自宅を出る。
逢えるのは、月に一度。
自然と急いでしまう。
下着を着けずに外を歩くのには少しも慣れないが、あの方に逢う時は着けられないのだ。
「あっスイマセン…。」
【しまった。】
人混みの大通りを、この格好で歩くのは、勇気がいる。
行き交う人々の視線が、余計に私を興奮させる。
「はっ…。」
ぶつかってしまったサラリーマン風の男性は、それに気が付くと、私の胸の辺りを見ていた。
私は、恥ずかしさと興奮で、顔が紅潮するのが解ったが、何事もなかった様に、その場を立ち去った。
【恥ずかしい…。】
下腹部が、湿ってくるのを感じたが、そのまま歩き続ける。
立ち止まると視線が集中するだろう。
なるべく、普段通りに歩いているつもりだが、下着を着けて無い事が、誰かに気付かれないか、不安で泣きそうになる。
だが
いっそ来なければ…。
などと、考えた事は只の一度も無い。
何故なら、
あの方に、逢える事だけが、今の私の全てなのだから…。
二十分程、歩いだろうか。
極度の緊張と興奮と不安で狂いそうになる頃、あの方のマンションに着く。
まるで計算された様だ。
【着いた。】
人の視線を、受け無い場所に行ける解放感と、あの方に逢える嬉しさで、体中が熱くなり、太股の内側に、温かい液体が流れるのを感じたが、何事もなかった様に建物の中に入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!