プロローグ

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自分の知らないもう一人の自分―… 彼は自らを『翔』と名乗ったらしい。 残虐非道で冷酷な人格の『翔』。 優の転校は彼の出現のせいとも言えるだろう。 もう一度お守りを見る。 あの時、気を失った時、『翔』と乗る人格が現れた時、確かにこれを持ってはいなかった。 今まで片時も肌身離さず持っていたのに――…。 これさえあれば、二度と『翔』を発現させずに済む。 それだけは確信できた。 この『ミコシサマ』があれば、私は私として存在していられる。 優はお守りを制服のポケットにしまい、鷹野宅へと急いだ。
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