3633人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまま、ソファーへと手を引いて、海斗をソファーの上に座らせる。
怪我の箇所を見てみると、包帯がもう取れかかっていた。
「ホント、無理しすぎなんだよ」
「……悪い」
海斗は先程とは正反対で、今度はあっさりと謝っている。
「はぁ~……もう」
包帯を巻き直しながら、僕はため息をついた。
本当に調子狂うなぁ~……。
海斗って、いつもこうだから、この対応には困ってしまう。
海斗は、自分に非があると判ると、すぐにしょぼくれてしまうのだ。
「これでよしっと……!」
巻き直しが終わると、僕もソファーへと座った。
隣の海斗は、黙ったまま、自分の足を見つめていた。
なんだか、その姿を見るだけで痛々しく思える。
「いきなり落ち込むなよ。ほら~、元気だしなよ!」
僕は海斗の肩を軽く揺さぶりながら、話しかける。
だが、海斗は聞いているのか聞いていないのか、わからないまま、顔は上の空だ。
ずっと、足ばかり見ている。
……仕方ない。
「ていっ!」
僕は海斗の額に手を近づけて、思いっきり力を込めたデコピンを喰らわした。
最初のコメントを投稿しよう!