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蛍の唇から、ゆっくりと離れていく。
見下ろすと、蛍の顔は真っ赤に変わっていた。
――俺達、キスをしてしまったんだよな……?
「……かい……と……」
唇をわなわなと震わせて、蛍が俺の顔を見つめ返した。
その声に、いつもの雰囲気が感じられない。
……すごく色っぽい声だ。
赤く上気して染まった頬に少し涙ぐんだ目が、卑怯なくらい可愛く見えてしまう。
それは普段とのギャップの差が、あまりにも激しかった。
とてもじゃないが、男の子だった蛍からは、想像もできない姿だ。
さき程、体勢を崩した際に、蛍の着ていたシャツのボタンが何個か外れてしまい、ピンク色の下着が、シャツの間から垣間見える。
また、シャツにくっきりと付いたシワが、余計に淫らさを演出していた。
「ご、ごめん……!」
足の痛みを無視して、すぐにソファーから起き上がり、蛍に背中を向ける。
「その……。今、……俺達がしたのは――!」
「事故だよ……」
「え……?」
蛍の冷静な言葉に対して、俺は呆気のない声を出してしまう。
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