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「……では次の所を……そうね、伊藤さん。読んで」
「あっ、はい」
先生に本読みを当てられて、指定された場所を読み始める。
「……春の新緑は素晴らしい。未明、ふと目覚めると、窓が青々と染まっている。鳥達のさえずりが――」
本読みをしながらも、頭の中は保健室での事でいっぱいだった。
海斗の体、……大きかったな。
前までは、僕とそこまで変わらなかったのに、今では結構な差が出ているし……。
首筋に息を吹きかけられた時、くすぐったくて……でも、嫌じゃなかった。
それは、相手が海斗だったからなのかな?
……わからない。
わからないけど、でも……。
あの時、重ねた唇の感触……。
すごく柔らかかったな……。
って、駄目だ、駄目だっ!
僕のバカっ!!
なんて、アブノーマルな事を想像しているんだ!
こんな事を考えてたら、また余計に意識しちゃうじゃないか!
い、今の事は早く頭から消さなきゃ……!
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