3633人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっときたか、蛍!」
椅子から立ち上がった兄さんがこちらへと向かってきた。
「……兄さん、何をするつもりですか?」
兄さんは僕の肩を深く掴んで、顔をこちらへと近づけてくる。
「何って……。も・ち・ろ・ん! キスだ!」
はぁ~……。
兄さんの言葉には、毎度毎度、ため息しか出ない。
ああ……。なんて、うっとおしい人なんだ。
会ってすぐに弟にキスを迫るなんて、もうアホを通り越している。
というか、ただの変態だよ。
いい加減、それに気づいて欲しい。
……あ、気づいても一緒か。
「……って、顔を近づけないでよ、兄さん!!」
いきなり迫りくる兄さんの顔を思いっきり、押し放そうとする。
だが、兄さんは僕の反攻に粘り強く耐えながら、その顔を寄せてきた。
最初のコメントを投稿しよう!