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「……そこまでですよ、会長」
あと数センチで唇が奪われる所を、その言葉に兄さんの動きが止まる。
……助かったの?
「えぇ~! 早瀬君! もう少しでいいところなのに~っ」
「会長、妹さんが嫌がっていますよ。いい加減、その辺にしといたらどうです?」
「ちぇ~」と愚痴りながらも、兄さんはおとなしくなり、さっき座っていた席へと戻っていった。
まさか……、あの兄さんが素直に人の言う事を聞くなんて……!
今まで、一緒に時を過ごしてきたのにこんな事を見るのは初めてだ。
他人の言葉……、ましてや同い年の人の言う事を聞くなんて……!
あ、ありえないっ! 本来なら、絶対にありえない!
「あの、どうかしましたか?」
僕が唖然に取られていたのを気にしたのか、女性は尋ねてきた。
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