温もりハンバーグ

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  この人は、今でこそ“変態”の印象が強いので忘れていたが、本来の兄さんは人一倍優しい人だ。 自分の兄だからと言って、大げさに褒めているつもりじゃない。 昔から、本当に心優しい性格なのだ。                     僕は幼い頃、近くの総合病院で入院していた。 原因は事故。海斗と路上でボール遊びをしていた時に、ボールが転がってそれを僕が取りに行って、偶然車に牽かれてしまったのだ。 持っていたボールがクッション代わりとなり、奇跡的にも大きな怪我はなかったが、念には念を医師に入院を勧められた。 入院中は本当に暇だった。 周りには知らないおじさんとおばさんだらけ。 僕と同い年の子なんて、誰一人いなかったから、本当につまらなかった。 だけど、お昼の3時になるとそんな事も思わなくなった。 兄さんがお見舞いに来て、色んなおもしろい話を聞かせてくれるからだ。 だが、どうしてこんなにも良くしてくれるのだろう? 本当はこんな話ばかりさせて、兄さんはつまらないのだろうか?   小さい頃の僕はそう思って、ある日、兄さんに尋ねてみた。  
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