温もりハンバーグ

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家に着くと、時間はもう6時前だった。 随分と遅い帰宅になってしまった。 兄さんは疲れ果てたようにぐったりと、リビングのソファに座り込む。 「うぅ……」 ソファにもたれこんで、兄さんの眠たそうな声を聞き、僕は苦笑をしながら台所へと立った。 「今から、夕飯作るんだから寝ちゃだめですよ。兄さん、わかっています?」 「わ、わかってるぞぉー。なんたって、今日はハンバーグだから……な……ん、ぅ……」 返事をするものの、兄さんの声はいつもみたく元気がない。 「あはは」 苦笑しながら、ミンチをこねていく。 はしゃぎすぎもあるとは思うが、生徒会の仕事の疲れだろう。 なんというか……、本当によく頑張る人だ。 任された仕事は、責任を持ってこなす。 兄さんのそういう所は常に感心してしまう。 「兄さん、起きてますか?」 「むぅ……お、起きて……いるぞ……ぉ~……ん……」 兄さんの声はだんだんと小さくなってきている。 多分、もう半分寝ているな……。 「やれやれ……」 出来上がったミンチをフライパンに乗せて、焼いていく。 それがある程度、焦げ目が付いたところで裏返しにして、もう片面を焼いていく。 うん、……いい匂いだ。 我ながら、今日のハンバーグは中々の出来かもしれない。
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