3633人が本棚に入れています
本棚に追加
家に着くと、時間はもう6時前だった。
随分と遅い帰宅になってしまった。
兄さんは疲れ果てたようにぐったりと、リビングのソファに座り込む。
「うぅ……」
ソファにもたれこんで、兄さんの眠たそうな声を聞き、僕は苦笑をしながら台所へと立った。
「今から、夕飯作るんだから寝ちゃだめですよ。兄さん、わかっています?」
「わ、わかってるぞぉー。なんたって、今日はハンバーグだから……な……ん、ぅ……」
返事をするものの、兄さんの声はいつもみたく元気がない。
「あはは」
苦笑しながら、ミンチをこねていく。
はしゃぎすぎもあるとは思うが、生徒会の仕事の疲れだろう。
なんというか……、本当によく頑張る人だ。
任された仕事は、責任を持ってこなす。
兄さんのそういう所は常に感心してしまう。
「兄さん、起きてますか?」
「むぅ……お、起きて……いるぞ……ぉ~……ん……」
兄さんの声はだんだんと小さくなってきている。
多分、もう半分寝ているな……。
「やれやれ……」
出来上がったミンチをフライパンに乗せて、焼いていく。
それがある程度、焦げ目が付いたところで裏返しにして、もう片面を焼いていく。
うん、……いい匂いだ。
我ながら、今日のハンバーグは中々の出来かもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!