温もりハンバーグ

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「兄さん、もうすぐ御飯出来ますよ? ちゃんと、起きていますか?」 「……すぅ……すぅー……」 「……寝ちゃいましたか」 兄さんの寝息を聞いて、つい、笑みを漏らしてしまう。 ハンバーグをひっくり返すと、丁度良い焦げ目が裏面にも付いていた。 ハンバーグの内、一つをまな板に乗せて、中身を切ると、中もよい具合にしっかり焼けている。 お皿にハンバーグを乗せて、同時進行で作っていたデミグラスソースを上にかける。 ふわっ、と香ばしい匂いがキッチンを漂った。 「出来たっ」 美味しそうに出来上がったハンバーグを、テーブルへ持っていく。 もちろん、フォークとナイフも忘れずに、セットで。 「兄さん、出来ましたよ」 「う……ぅ……ん……」 「ほら、起きてください! 兄さん」 兄さんの肩を軽く揺さぶるが、なかなか起きてくれない。 困ったなぁ……。 兄さん、一度熟睡してしまったら、なかなか起きてくれないしなぁ。 ホント、どうしようか。 「んぅ………け……い」 「ん?」 不意に僕の名前を、兄さんは寝言で呟く。 「……ブラコン兄さん」 この場合はシスコンだろうか? いや、そんな事はどうでもいい。 まったく、この人は。 夢の中でも、僕の事でいっぱいなのだろうか? ……はぁ~、困ったものだ。 「……け……い……」 またも、寝言で僕の名前を呟く兄さん。 「何? 兄さん」 そんな寝言に僕は笑いながら返した。 ちゃんとした会話にならない事は承知しているが、こういうのは結構やってみると面白い。 遊び気分で返した返事に、早速、兄さんの口が動きだす。
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