温もりハンバーグ

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「……も……」 「も……?」           「……萌……え……」         「……こら。勝手に萌えるな」 すかさず、兄さんの額をつついてやる。 困った事に兄さんは現在、夢の中で僕に萌えているらしい。 というか、せめて夢の中くらい僕を開放してやってください。 お願いしますから、はい。 「すぅー……んぅ……」 寝息に反応して、改めて兄さんの顔をまじまじと見てみる。 すごく幸せそうな顔で寝ている。 はぁ……。 こんな顔で寝られると、起こすにも起こせないじゃないか。 「……アホ兄さん」 「ん……ん……すぅー……んぅ……」 僕の呟きに反応したかのように、僕の肩に兄さんの頭がもたれかかる。 「……もう」 右肩に兄さんの頭がもたれ、少し重さを感じた。 男だった時は、重いとかあまり思わなかったけど、やはり体は女の子。 体が華奢になったなぁ、と自分でも実感してしまう。 自分の左手を出して見つめながら、今日の出来事を振り返ってみた。 海人とのキス。 あれは本当にハプニング続きだった。 正直、海人にはすごく申し訳ないと思っている。 僕が知る限り、海人も特定の彼女を今まで作っていないはずだ。 もしかしたら、海人にとっても、多分ファーストキスだったのかもしれない。 今日、後でもう一度ちゃんと謝っておかなきゃ……。 次に生徒会での兄さんの勧誘。 ……うん、これはもうどうでもいいな。
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