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ふぅ、……不味い事になった。
僕と兄さん、双方はお互いにタオル一枚の状態で現在風呂場にて待機中。
救いの望みがあるにはあるが、後五十分近く待たなきゃいけない。
……ああ、本当に困った。
マジでどうしよう。
全ての現況は目の前で鼻の下を伸ばしながらあほな顔をする我が兄のせいなのだが……。
弟相手にそれはマジで気持ち悪いですよ。
意識あるのかな、この人?
ホント、この場においてもまだそのようなスケベ心があるのはむしろ感服してしまいます、兄さん。
……まぁ、冗談ですが。
ちなみに僕が浴槽の中でお風呂に浸かる一方、兄さんは冷たい風呂場のタイルの上で正座中だ。
まぁ、当然っちゃ当然……だよね?
「う……おおぅ……!」
なんか兄さんが肩をぶるぶると震わせて、目つきを更にいやらしくする。
……反省している顔色が見られずにいるから逆に怒っても良くないかな、僕。
実の弟相手にここまで変態になる兄など、世界に数えるくらいしかいないだろう。というか、この人のみじゃなかろうか?
なんだかそう思うと、身体中に寒気が回ってきたぞ。
ああ、早くこの風呂場から生還したい。
本当に……切実に早く出たいです、神様。
「はぁ……」
嘆息を吐きつつ、浴槽に肩までつかって兄さんをジーっと睨みつける。
「ああ……蛍!! その目最高だよぉぉぉ」
……やはり、筋金入りの変態だ。
近年稀に見る変態だ。
このままもし社会へ出てしまう事になれば、間違いなく第一級犯罪者になりかねない気がする。
いや、気がするっていうよりかはもう確実になると思う。
「兄さん、マジふぁっきんだよ」
「おおぅ! すんごく気持ちいい!」
なんか背筋をくねくねさせながら、気持ち良さそうなそれでいて気持ち悪い顔で兄さんが喜んでいる。
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