温もりハンバーグ

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      だとしたら、不味い。   こんな状況で逆上せたくないよ。 今異常な環境下で僕が気を失ったら、兄さんが暴走しそうで怖い。   うわぁ~。 不味い、不味い、不味い。   本当にどうしよ。         「うぅ~……」         「どうしたんだ? 蛍」   張り詰めていたのに一気に緩めてしまったせいもあるのかな。 ちょっと頭がぽわぽわしてきた。     「蛍、ちょっと顔熱いぞ。逆上せそうなのか?」     「えーと……その、……うん」     兄さんの言葉に曖昧な返事で返す。兄さんが変な事考えてくれなければいいが。 ……いけない。眠気もしてきた。 ちょっとずつだが瞼が落ちていく。     「あー……ちょっくら、ごめんな。蛍」       兄さんが僕の肩を掴んで寄せてくる。       「ちょっと……兄さん……やめて……」     なんかどんどんと悪い予想していたのが当たりそうな勢いになってきている。 本当に僕に手を出したら、兄さん人間失格ですよ。     だから、正気に――           「蛍、何怯えているんだよ」           「え……、いや……だって……」   襲われそうで怖いので、とは口に出せないので自粛する。      「……ちょっとくらい安心しろよ」       兄さんが自分の肩に僕の頭を傾かせて、楽な体制を取らせる。   「あ……れ。兄、……さん?」   何も……されてない? そればかりか今兄さんに良くしてもらったのか?     楽な姿勢のまま兄さんの顔をぼんやりと見る。 少し顔に赤みがかかっていた。 ほんわりと蒸気したような薄らな赤い色。 ……その、照れるのならしなくてもいいのに。         ……ありがと。兄さん。         「少し落ち着いて休め」     優しい声で耳元で囁くように言われ、僕は「ん……」と首を軽く頷かせて、息を安らかにした。  
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