一組の熱い戦い

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  「はぁ……」   パジャマに着替えながら、僕はため息を零す。   「はぁ……」   連続して零してみたが、もちろん気分が癒えるはずはない。自室は寂しく、無音のままだ。着替え終わると、僕はベッドへと横たわり、母さんの写真を眺めた。母さんって相変わらず美人だ。げんなりした僕の顔とは正反対に笑顔で優しそうな雰囲気を醸し出している。   ……今日一日、非常に疲れた。ありえないイベントてんこ盛りで僕の体は疲労にまみれている。お風呂上がりだと言うのに、疲れは一向に取れない。本当、虚しいばかりだ。         「ぐぬぉおおおおおおおおお!!」           一階から、アホの叫び声が聞こえてくる。   ……あの人、もう起きやがりましたか。   手のかかる兄を持つと疲れが溜まるばかりだ。夕食の時に上がった兄さんの高感度は、今や下がる一方である。       「蛍!! どこだぁああああ!! 俺はなんで寝ていたんだ!!? ちっくしょぉおおおおお!! 蛍の裸、もっと見ておくべきだったぁああああ!!!」       もう時計の針は十一時を越えて、近所迷惑だという事をわかっていないのだろうか。 いい加減、自覚して欲しいものだ。我がバカ兄上殿には学習能力がないのだろうか。   ……いや、あったら既に自覚しているだろうな。というか僕が学習せねば。あの人には学習能力がないという事をいい加減に頭に入れておけ、僕!   はぁ……。 なんとなくだが、兄さんは自覚してやってそうな気がする。 もし、そうだとするならかなり性質が悪いのだが……。   僕がこういう風に思っていたりするのを、兄さんは気づいているのだろうか?             「蛍ちゃん、蛍ちゃん。“ピンクの可愛い下着”を着けている蛍ちゃん!! どこにいるんだい!!」             ……何故だ。   何故、風呂上がり後の下着をあの人は知っているんだ!?   今さっきまで兄さん、貴方気絶していたでしょう!         「あっ!! 今何故知っているんだと思っただろう!! 俺にかかれば蛍の下着なんてチェック済みさ!! ちなみに先週、下着を二着新しく買ったのもお見通しさ!! 白と水色の下着は蛍に似合っていて可愛いと兄さんも思っているのさ!! というか俺を誘っているんだろう、蛍ちゃぁああああああああん!!!!!」          ……うん。なんという事だろうか。 事態はかなり深刻のようだ。  
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