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もう、昨日と今日合わせて何回ため息が出たのだろう。
やっぱり、ジュースの効力は切れていなくて、少女の姿のままだった。
これが現実……か。
「おーい! 蛍、入るぞぉーッ!」
ドアの向こうから、兄さんの呼ぶ声が聞こえてくる。
僕が「どうぞ」と言うと、兄さんはすこい勢いで扉を開けた。
「な、なに? どうしたの? 兄さん」
「いや、なぁーに! 女の子に変わった蛍の姿が拝みたくてなっ!」
「…………」
呆れて思わず、黙ってしまった。
兄さんは僕が女の子になって、嬉しいのだろうか?
「ホント、若い頃の母さんにそっくりだなぁ~!」
「そ、そうかな~……」
「いや、ホントにそっくりだ! 美人だ! 可愛すぎる!! つーか、もう一生その姿でいてくれぇー!」
どうやら、兄さんは僕が男に戻る事を毛頭望んでいないらしい……。
そればかりか、ここにきて重度のマザコンである事が判明した。
はぁ~……朝から、うっとおしい事この上ない。
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