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……ああ、入りたくない。
こんな所で兄さんの変態に振り回されるのはいやだ!
でもでも、今ここで下着を買わないと今後、兄さんに襲われてしまう可能性が増してしまう。
……神様、あなたは僕に素晴らしいくらい嫌な試練をお与えしてくれましたね。ホントに……。
「……俺も入らなきゃいけないんだよな?」
兄さんが罵声を言われていたのを聞いていた海斗が助けを求めているような顔で僕に聞いてきた。
体をビクビクと震わせ、まるで捨てられた子犬のような顔をしながら、僕の手を握っている。
いや、そんな顔で言われましても……ねー。
普通の女の子なら、一目見て助けたくもなるだろう。
でも残念ながら、僕は男ですので……。
「……ごめんね、海斗。僕一人きりじゃ、心細いんだ。……一緒についてきて欲しいんだ」
「だよ……な」
「うん、……ごめんね」
「いいさ……。俺も電話で“行く”って答えたしな。」
「海斗、ありがとぉ~っ!」
「いいよいいよ。……あ、ちなみに入るのを断っても無理に連れて入るつもりだったろ?」
僕は満面の笑顔でこう答えた。
「もちろんっ!」
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