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「お願いだよ~!! 一生に一度のお願い!!」
……兄さん。
こんな事に一生のお願いを使わないでください。
はぁ~。
だんだんと頭が痛くなってきた。
「嫌です。だって、あの髪型にしたら、襲ってくるじゃないですか」
「大丈夫! 家の外では襲わないぜ!!」
親指を立てて、「GOOD!」のサインをこちらに向ける兄さん。
えーと……。
兄さん、外だけ限定ですか?
家でなら、襲う気なんですか?
うぅ……、本当に兄さんは欲望に忠実すぎます。
はぁ~、まるで獣のようですね。
実の兄ながら、つくづく哀れに思えて悲しくなってくる。
……はぁ~。
「と、とにかく! 無理なものは無理……って、あれ? 兄さん?」
いつの間にか、兄さんの姿が玄関から、消えている。
兄さんの靴はまだあったため、家の中にはいるはずだ。
何か忘れ物でもしたのだろうか?
「お~い! 兄さ~ん」
呼んでみても、兄さんからの返事が返ってこない。
はぁ~。
一体、何をしているのやら……。
「兄さ~ん、早くしてくださ~い! ……先に行ってますよ~?」
「ちょ、ま、待ってくれ~!! 行かないで~!!」
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