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「なんか、すごい汗かいてるぞ? ……本当に大丈夫なのか?」
……無理です。
この状況に耐えられません!
海斗が心配して、僕の額に手を当てる。
「っ……!」
「熱は……ないみたいだな。よかった」
よ、よくないっ!
海斗、後ろの視線に気づいてよ。
……僕達、結構危ないんだよ?
後ろからは、今も男子生徒からの視線が向けられていた。
このままでは、拉致があかない……。
「か、海斗! 早く、クラスに行こうよっ!」
僕は海斗の手を離し、顔を上げて言った。
「あ、ああ。でも、体の方は大丈夫なのか?」
海斗は、まだ納得していないのか、心配している。
「だ、大丈夫だから! ほ、ほらほら、早く!」
「あっ、ちょっと! 蛍――!」
「い、いいから! 早く行こっ!」
僕は海斗の腕を強引に引っ張って、校舎内へ向かっていった。
多分、僕達の後ろでは、今も男子生徒がこちらを睨みつけているだろう。
ああ……。
絶対に、振り向きたくないな。
はぁ~。
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