『美少女』っていうのは辛いもんなんですね

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  ……バイトかぁ~。  やってみたいと思っているのだが、学校の校則で、バイトは禁止されている。 バイトしている生徒を発見次第、「停学」と厳しい校則だ。 隠れてするにしては、リスクが高すぎる。           「どうしたんだ? 愛しのマイシスター!」           いきなり、背後から僕のよく知る声が、聞こえてくる。   ……というか、僕の事を「マイシスター」と呼ぶのは、この世界でどこを探しても、一人しかいない。   「……に、兄さん」   「はっはっは! 蛍、会いたかったぞ!」   「……なんで、兄さんがこんな場所にいるの? 生徒会は? 会長の仕事は?」   僕がそう尋ねると、兄さんが笑顔になり、答えた。               「ああ! 事前に全てやっておいたんだ! ……そう!! 全て、この日のために!!!」               ……アホだ。   なんというアホだろう。 そんなつまらない理由で、事前に仕事を終わらす事ができるなら、その力をもっと違う方向に使えばいいのに……。 やっぱり、兄さんはどこかおかしい。 どこかで頭のネジが一本、外れてしまっているのかもしれないな……。   はぁ~。 ホントにアホだから、呆れますよ……。   「でだ、マイシスター! 何を見ていたんだ?」   「ん……、ああ。これです、兄さん」   僕は広告を指差した。 指差した方向を追いかけるように、兄さんが広告に顔を向ける。  
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