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「バイトかぁ~。蛍はバイトしたいのか~!」
「えーと、まぁ興味はあるんだけど。でも、僕達の学校ってバイト禁止だから……まぁ、仕方ないよね」
「ほぅ! そんな事で困っていたのか! うむ……なら、俺が学園長に交渉してみよう」
「……え?」
兄さんが携帯電話を取り出して、どこかに電話を掛け始める。
ま……まさかっ!
本気で学園長と交渉するつもりなのだろうか!?
「三年生徒会会長の伊藤ですが、学園長はいらっしゃいますか?」
「ちょっ、ちょっと兄さんっ!! そんな事しないでいいから!」
僕は兄さんの携帯電話を奪おうと手を伸ばす。
だが、兄さんに頭を押さえされて、手があと一歩届かない。
……うぅ、男だったら絶対に届く距離なのに!
「あ、学園長! すみません、いきなりお電話を掛けて。実は相談がありまして……ええ。校則にあるバイトの件に関してですけど。……はい、そうです。はい……はい!」
ああ……、もう勝手に話を進めちゃっているし……。
いや……でも、こればかりは流石の兄さんでも無理なのではないだろうか。
いくら生徒会会長と言っても、兄さんは『生徒』なのだ。
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