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「……蛍の裸エプロン……萌え……」
兄さんが聞き取りにくい音量でボソボソと呟き始める。
……兄さん。
拒否されたからって、現実から目を背けて、妄想に浸らないでください。
「……蛍と裸エプロン、……新婚生活……赤ちゃん……」
……ちょっと待て。
「蛍と裸エプロン」はまだ、良しとしよう。
しかし、「新婚生活」と「赤ちゃん」って何ですか?
何故、そんな意味不明な単語が、兄さんのお口から出てきたのですか?
……ああ。
きっと、兄さんの頭の中では、自分通りの妄想が膨らんでいるんだな……。
そして、その妄想の中で僕、きっと兄さんに陵辱されているんだろうな……。
「兄さん、いい加減に立ち上がってください……!」
僕は兄さんの肩を強く、揺さぶる。
しかし、なかなか立ち上がらないどころか、兄さんは蛻の殻のような目で、僕を見てきた。
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