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「いいんだ……、もう……いいんだ……」
兄さんは、起き上がったと思いきや、地面にガックリと四つん這いになって、しゃがみこんだ。
未だに何かボソボソと呟いていて、それが何なのか、よく聞き取りづらい。
「何がいいかわかりませんが、いい加減にしてください! 周りに人が通ったら、確実に変な人と思われますよ?」
「……いいんだ……もう……いいんだ……」
「よ、よくありませんよっ! 早く起き上がってくれなきゃ……“もう二度と口を聞きませんよ”!?」
その最後の言葉を言った途端、兄さんの体がピクッと反応して、動いた。
……あれ?
……兄さん、もしかして……!
僕は、再度確かめるために、声のトーンを少し落とし、なおかつ、感情を込めて言ってみた。
「……もう、一生無視です……兄さんっ!」
そう言い終えると、兄さんの体がまた、ピクッと反応して、動いた。
そして、顔を上げた瞬間、ものすごい必死な顔で叫びだした。
「そ、そそそそそ、……それだけは……っ! それだけは、駄目だぁあああーっ!!」
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